関西上映決定!
📽大阪 シネ・ヌーヴォ7月13日(土)〜7月19日(金)
📽神戸 元町映画館7月27日(土)〜8月2日(金)
東京の一部で密かな話題となったウワサの映画『上飯田の話』がついに関西上映が決定しました!ぜひ関西でも噂していただけましたら🌴
第37回 高崎映画祭「監督たちの現在(いま)」部門にて、映画『上飯田の話』が上映されました。
7月14日(金)~7月27日(木)
菊川 映画館「Stranger」にて
『邦画セレクション Vol.2』にて
上映決定!
作品の規模の大きさや監督のキャリアを問わず、Strangerスタッフが面白いと思った作品を独自にチョイスする上映企画にセレクションしていただきました。16日には舞台挨拶も控えておりますのでぜひ宜しくお願いします。
Stranger様HPよりWEB予約開始!映画系ウェブメディアさんをはじめ、たくさんの方々からレビューをいただきました。ありがとうございます。
noteにてたかはし監督や福地助監督にインタビューを行っております。ぜひご覧ください。
4月15日から28日までに行われた上映では、映画や映画を専門とする分野で活躍する方々にトークゲストにお越しいただきました。アンコール上映に合わせまして一部の音源を公開中です。ぜひご覧ください。
Twitterの今週の気になる映画コーナーなどで取り上げていただいたメディアさん。ポッドキャストのチラシコーナーにも取り上げていただきました。大規模配給の映画がたくさん紹介されているメディアさんなのに私たちの言葉にも耳を傾けていただきました。ぜひ聞いて欲しいです!
本作は単なるショートストーリーが連なったオムニバス映画ではない。ショートストーリーによって確かに連結された町の物語であり、主役は町そのものと言ってよいだろう。その不思議な感覚は特殊な撮影手法によってもたらされている。
今回が初の劇場公開作となる本監督は、劇中にも登場する「上飯田ショッピングセンター」の建物の佇まいから強い映画創作の着想を得た。現地に何度も足を運び、町民の人々と交流するなかで、物語を制作していった。
主要キャストはエビス大黒舎に所属する若手俳優たち。こちらも演技のレッスンに足を運び、それぞれの人物像と登場人物を丁寧にすり合わせていった。上飯田町に実際に生活する人々も出演してもらっており、俳優たちの演技のなかに、いきいきとした町民の会話が溶け込み、フィクションにいろどりが与えられた。
フレームの外の町の風景、生活、人々が、巧みにフレーム内に融合した、この時代にしか撮れないエスノグラフィックムービーが誕生した。
『いなめない話』
生命保険の営業のヒロコが、乾物屋で働くマコトの依頼で訪問し営業をすることに。マコトが依頼をしてきたのに、なぜかヒロコに高慢な態度で迫るがその裏には...。
『あきらめきれない話』
もうすぐ結婚するショウは、仲の悪い兄ツヨシに結婚式に出てもらいたく兄の家に行くが、兄は頑なに出たくないと言う。
『どっこいどっこいな話』
知らない場所に行っては、そこでもし生活したらということを想像するナオキ。ある日上飯田町を写真に撮っていると乾物屋のマコトと出会い、そこでつかの間の奇妙な関係が始まる。
1991年生まれ。高校時代から映画を学び始め、東京造形大学映画専攻領域へ入学。在学中は諏訪敦彦ゼミに所属。卒業後5年間イベント制作会社にて会社員として働きながら自主で映画制作を続ける。2020年度から東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域に進学。『上飯田の話』はコロナ禍のため休学していた2020年に自主制作した。場所から発想し、実際にいる人たちと話をしたり、関わりをもつ中で、映画を生み出していくことに関心がある。
東京生まれ。武蔵野美術大学 映像学科を卒業。卒業後、フリーのカメラマンになる。 映画、コマーシャル、MVなど幅広いジャンルを撮影。
広島県出身。東京造形大学大学院卒。在学中から自主制作映画に携わる。卒業後はフリーランスとして様々な現場で活動中。
東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了。沖縄を拠点とする映画監督、ライターでもある。監督作『BOUNDARIES』(2021年)は現場録音として監督たかはしが参加。大阪国際アジアン映画祭にて上映。
循環が知らぬ間に線状となるかに見え、しかも現実ーーとは何かーーがフィクションに限りなく接近するかとも思えるこの新人作家の作品は、紛れもない傑作である。そのショットの的確さを超えた連鎖を前にしてわたくしたちにできることは、ひたすら途方に暮れつつも、これこそが映画にほかならぬと密かに、だが、まぎれもない確信をもってつぶやくことでしかない。それがたまたま日本映画であったことを祝福している余裕など、誰にもあるまい。これは、世界ーーとは、だが、何を意味するのかも知らぬままーーに向けてつぶやかれた、途方もなく貴重な、したがって聞き取り難くもあるつぶやきである。
上飯田という場所は実在するが、『上飯田の話』はどこにも存在しない。それは誰かの私的な記憶の場所でありながら、誰もが知っているはずの風景である。映画と現実。ドキュメンタリーとフィクション。歴史と現在。あなたとわたし。バナナの木とソフトボール。あらゆるものを結びつけながら分割する「と」という接続詞をヒョイと飛び越え無効にしてしまうたかはしそうたの大胆不敵さを御覧あれ。これもまた映画にしかできない離れ技である。
その辺の普通の人たちのいつもの生活が、気味悪いほど確信に満ちた映像で撮られることによって何やら神聖なものに見えてくるから不思議。たかはしそうたは若くして映画の本質をつかんでしまったようだ。カメラがゆっくりパンを開始する度に、僕は自然と襟を正した
冒頭から流れてくる電子音の高揚感とは裏腹に、煮え切ることのない三つの「話」の虜になっていく。それはおそらく、都市を表象するランドマークとは無縁な横浜・上飯田が持つ磁場によるものだろう。一方、上飯田に生きる人々(あるいは生まれ育ったことをイメージする)の話を展開しながらも、決定的な形で彼/彼女たちの住む家が映ることはない。だけどそのことは、上飯田という地が大きな家であり、人々の小さな物語を招き寄せるための装置であることを示唆してもいる。
なんて風通しの良い映画なのだろう。それが最初の感想だった。俳優も、不意に横切る人々も、上飯田という街も、無理をしていない。これは映るものの”自然さ”を安易に装うつまらない映画なのだろうか?
いやちがう。カメラが俳優へ近づくとき、私たちはフィクションへ跳躍する。俳優によって、フィクションによって、あるいは撮るという行為によって、上飯田の街は別の相貌を垣間見せてくれる。たかはしそうたが作り出す、街と人のあいだに流れるささやかだが苛烈な風は、劇場の暗闇でしか体験できないはずだ!
生きることを物語に要約しないことで、毎日の暮らしのどうでもいい細部にひそむ不安が見えてくる、隠された日常の発見。
映画には絶対見るべき2%と、見れたら見ればよい98%に分けられる。見なくていい映画はない。では、絶対見るべき映画とは何か? 思いがけない驚きを更新してくれる作品だ。世界が新鮮に見え、新たな認識に導かれる映画だ。まったく予想だにしてなかったのだが、たかはしそうたそうた監督の『上飯田の話』は、2%に含まれる。それは地域を描くことと、それをどう描くのかという、主題と手法が切り離せられない一致を見せてくれるからである。全三話のオムニバス構成だが、それぞれに、ある領域に侵入する人とそこに待っていた人との「間」の攻防が描かれる。その結果、高齢化が進み寂れていく地域の片隅が活性化し、生命保険の勧誘の駆け引きや弟の結婚式に出席を断る兄への説得や地域行事の遺物から歴史が露呈しながらも、一向に展開が読めない。一話一話切実なのに、初対面の双方の性格、体型の違いから不条理喜劇の様相を呈する。ここに、ケーリー・グラントやフランキー堺が登場しても全然異和感がない世界が、リアルな日常性のなかに立ち上がっている。そこでの奇妙に捻れた会話の面白さとそこに偶然(?)映り込む人々のバランスの奇跡的なこと! いつ切り返されるかと思えば、突如の360度パンが永遠の長さで続く。会話を聞くべきか、風景を見るべきか。このフィクションとドキュメンタリーの幸福な結婚を祝福しよう。
祭り囃子の響きとともに無人の街路を巡る画面に、数十年ぶんの日本社会の興隆と衰亡が鮮やかに描き出された。本作の、軽快なサウンドとともに展開する遊歩、このやる気あるんだかないんだか不明な存在の持続こそ、いまを生きる術に見える。だから、必見!
画面に映った、
通り過ぎる車のナンバーに、
保険外交員が履き替える靴のピンクに、
公園のおじさんのアンダースロウに、
結婚を控えた女性の瞬きに、
横浜市に生きるバナナの木に、
和らくの女将の霊感に、
何か世界の秘密が、(それはフルクタルであるのかないのか)、潜んでいるのではないかと、目が離せなくなってしまう。
一回も行ったことがないのに懐かしい。そしてずっと昔に加入した生命保険の、その内容を確認せずにはいられない。
どうってことない町がスクリーンに映し出される前にテクノでPOPな曲が軽快に流れる。
危険だ。この映画を作ったやつは見ている私たちをどっかにきっと陥れるつもりだ。
足早な女をカメラが追うと団地に辿りつく。
入り組んだショッピングセンター、電子的な音楽が誰もいないのに忙しない。会話のついでに買い物にきている高齢者の声が響く。
空虚な目の八百屋亭主と絵に描いたような保険外交員。
真っ赤な車を挟み怪訝そうな首が埋まった女とスキンヘッドの男のカップル。
そのカップルを悩ますムカつく声の兄。
カメラを構えたどうもチグハグな男。
外から戻ってきた人たちが集う小さな居酒屋。
そんな人たちがいる横浜の上飯田町。はたして?
上飯田サーガの幕開けです。
映画の魔法を極力排除した『上飯田の話』はたくさんのマジカルが生まれている。
それは上飯田という街とそこに生きる人々...そしてそれらに取り憑かれたように魅せられた監督のおこす魔法。
公園、話に飽きたように突如動き出すカメラ。曲線の造りが多いじいちゃんの家、彼女がじっと見つめるその視線の先。整然と並ぶ団地、酒を飲む人たち、日記を読む声...何気ない日常の風景を見ていると思ったら、少しずつ少しずつたかはしそうた監督のワンダーランド に誘われている。そのゾワゾワと楽しさよ!
人間って、時々憎たらしく思えることもあるけど、やっぱりおもしろいし、楽しいし、かわいい。
だから嫌いになれないしやめられないんだよな。そんなことを、見ていて思いました。
流れている時間と、たかはし監督の持つ"おかしみ"がとても心地よい映画です。
どれもが二度と起きない景色のようで、その一度目を何が起きても見守り続ける監督の姿が勝手に浮かんできてしまいます。 ふと心が安らぐ瞬間というのはなかなか鮮明に覚えておくことが難しいけれど、この作品にはその瞬間がたくさん映っています。
キャスト:竹澤希里 本多正憲 吉田晴妃 黒田焦子 日下部一郎 生沼勇 荒川流 上飯田町の皆様
監督/脚本/編集:たかはしそうた
撮影監督:小菅雄貴 録音:河城貴宏 助監督:福地リコ 制作:生沼勇 整音:浪瀬駿太 音楽:本田真之 絵:西永怜央菜 DCP制作:西後知春 宣伝協力:ガブリシャス本田 協力:㈱エビス大黒舎 上飯田ショッピングセンター 英語字幕:Megumi Suehara
2021年/日本/カラー/スタンダード 1:1.33/モノラル/63分
新着コメントのお知らせ:映画評論家の蓮實重彦さんに本作のコメントをいただきました。